外壁塗装の塗料について説明します。

 プロでも難しい『塗料』のことを、1級塗装技能士・1級建築施工管理技士の山佐塗装店三代目親方 渡辺が説明いたします。 さて、塗装工事をするときに使用する『塗料』とは、そもそもどんな物なのでしょうか?

塗料とは美観(色彩・光沢・デザイン)や保護(防水・防腐・耐火)などを目的とした表面加工材です。その他にも遮熱・断熱・撥水などの機能がある塗料もあります。 その中でも、我々が使用する建築用塗料では、外装用・内装用・床用などがあり、それぞれに下塗り・上塗りがあります。

国内の塗料メーカー 売上高ランキング(データが公表されている企業)

1位日本ペイント株式会社
2位関西ペイント株式会社
3位エスケー化研株式会社
4位中国塗料株式会社
5位大日本塗料株式会社
6位日本特殊塗料株式会社
7位日本ピグメント株式会社
8位ロックペイント株式会社
9位神東塗料株式会社
10位ナトコ株式会社

皆さんは、この10社の塗料メーカーの中で、何社くらいご存知でしたか?多くの方は日本ペイント・関西ペイントぐらいは知っていると思いますが・・・

弊社でも、日本ペイント・エスケー化研・日本特殊塗料をよく使用していますが、私の最近のお気に入りは『プレミアムペイントジャパン株式会社』です。

三代目親方のお気に入り『プレミアムペイント』とは・・・

もともと塗装職人だった現代表取締役高橋社長が、自分が納得する塗料を作りたいという思いから誕生した塗料なのです。 他と違うところは、塗料開発の際、実験室の結果だけではなく、現場での施工実態から商品開発され、品費(耐候性)を第一に作られております。 また、プレミアムペイントは『高橋社長』が各塗装店に足を運び、自ら塗装店に指導を行っております。 そのため、高品質な施工が可能なのです。

1.「下塗り塗料」は壁材に合わせて、分類されます。

 フッソやシリコンなどの上塗り塗料ばかりに目が行きがちですが、下塗りをしっかり塗っていないと、どんなに良い上塗り塗料を使ったとしても、その性能を発揮することはできません。

 一般的に下塗り塗料は、シーラーやプライマーなどと呼ばれ、外壁や屋根に最初に塗る塗料です。
 中塗り塗料や上塗り塗料との密着性を良くするために塗ります。痛んだ塗装面は塗料を吸収してしまうので、下塗り塗料で吸収を防ぐ役割もあります。吸収がなくなるまで、2度3度塗ることもあります。

 フィラーと呼ばれる下塗り塗料は、外壁の細かなひび割れを埋めてくれる塗料です。砂骨(さこつ)ローラーを使って、厚く塗り、表面の模様を変えることもできます。
 また、錆止めの入った下塗り塗料は、鉄部などの下塗りに使います。

 下塗り塗料は、サイデイングの外壁やモルタル(リシン・吹付タイル・ジョリパットなど)の外壁、また既存塗膜の状態によって使い分けをします。

ワンポイント!

 山佐塗装店では、弱溶剤2液型の下塗り塗料を基本に、フィラーは砂骨ローラーで塗ることを標準施工法としています。

・窯業系サイディング

 新築住宅の70-80%で使用されている外壁材で、色や柄が豊富で、施工性が良く、工期を短くすることが出来ます。メンテナンスが必要な外壁材なのですが、使用されているサイデイングの特徴や張られている施工方法などにより、適切なメンテナンスのやり方も変わってきます。
 山佐塗装店では、窯業系サイディングの下塗り剤には、ETERNITYex1を使用しています。 

サイディング外壁の施工前写真です。
サーフェーサー効果とプライマー効果に優れ、シーリング材と上塗り材との密着性を高め、長期間に渡って塗膜の割れを最小限に防ぎます。
塗料選びワンポイント!

 山佐塗装店では、(一社)木造住宅塗装リフォーム協会の『窯業サイデイング塗替・張替診断士』の資格を有し、窯業系サイデイング材メンテナンス技術研究所の地区相談所に指定され、全国の消費者様から窯業系サイデイング材に関するご相談をお受けしています。

・モルタル壁

木造モルタル外壁の施工前写真です。

 砂とセメントに水を練り混ぜた建材を左官で塗付け、塗装や吹付けなどで表面を仕上げた外壁です。表面にひび割れが起きやすく、仕上げの塗材(リシン吹き・吹付タイル・ジョリパット系など)の種類により、耐久性に差が出ます。
 リシン吹き・吹付タイルの下塗り剤には、ETERNITYex1やLOVEを、ジョリパット系の下塗り剤には、ETERNITYex2を使用しています。

リシン吹き

 骨材・樹脂・着色料を混ぜた物を、スプレーガンでモルタルなどに吹付けて仕上げる外装材です。骨材による細かな凹凸により、ざらざらした表面になり、汚れが目立ってしまいがちです。

◆吹付タイル

 表面が凸凹になるようにスプレーガンで吹付けていく仕上げ材で、触るとツルツルしています。凸凹を押さえた仕上りや、スプレーガンの口径により、粒の大きさを大粒から小粒まで変化させることが出来ます。

常温架橋システムにより耐候性に優れ、上塗り塗料の耐候性を最大限に発揮させる造膜プライマー。
ひび割れに追従し長期間にわたり防水性を維持してくれる、ゴム質再生微弾性フィラー。
◆ジョリパット系

 ジョリパットはアイカ工業より発売されている材料の商品名です。 鏝塗りやローラー塗り、吹付けなどで仕上げることができるので、様々な模様の外壁にすることができる外装材です。

浸透と造膜の二つの機能を持ち合わせ、耐候性に優れたプライマーです。

・ALCパネル外壁

 セメント、生石灰、珪石、発泡剤を主原料とした軽量気泡コンクリート建材で、鉄骨造の外壁として使用されています。防火・耐震・断熱性能が高く、軽量で工期も短くできる。
 水を吸いやすいため、表面はタイルや塗材(リシン吹き・吹付タイルなど)で仕上げます。リシン吹き・吹付タイルの下塗り剤として、山佐塗装店では、上記(モルタル壁)でご紹介したETERNITYex1やLOVEを使用していまうs。

ALCマンションの施工前写真です。
拡大するとこのようなイメージです。

・木の壁

 こちらは木の壁です。都市部ではおしゃれなお家に。また地方都市ではお屋敷風のお家で使われています。

・トタン・ガルバニウムの壁

こちらはトタンの壁です。築50-60年前後のお家や、最近のお家でも時々見かけますね。

ガルバニウム。オシャレなお家で時々見かけますね。
鉄に対しては、サビ止め効果の入ったプライマーを使用します。

・コロニアル屋根

軽い屋根で有名なコロニアル屋根が痛んできた場合には、原則、浸透造膜プライマーを使用します。ただし、コロニアル屋根は、一般的な寿命が20年弱とも言われているため、お家のためには葺き替えをしたほうが良いケースもあります。(日差しがよくあたる地域等では特に痛みが早いです)

コロニアル屋根
傷んだ屋根には、弱溶剤2液型の浸透造膜プライマーが最適です。

「下塗り塗料」は、いろいろな塗料があるようにも感じますが、体系的に並べると上記のとおりです。どれも役割としては「仕上げ塗り塗料」と壁材を密着させるということなのですが、壁の『素材』に合った「下塗り塗料」を使うことがルールです。

 ※このルールを守らないと塗膜が密着しない、つまり「剥がれ」が起きるということになります。

2.「仕上げ塗料」は「耐候性」と「機能ごと」に分類されます。

「仕上げ塗料」は「耐候性」(どれくらいの長持ちを期待するか?)と「機能」(断熱・光沢・等)で分類されいますので、順番に見ていきましょう。

無機ハイブリッド塗料

一番長持ちすると言われている塗料は「無機ハイブリッド塗料」というものです。無機とは石のような無機物を指していますが、ゴムと石を比べてたら、石のほうが硬いのはおわかりいただけますよね。そのようなイメージから、現在では「無機ハイブリッド塗料」が一番長持ちすると言われています。各塗料メーカー耐候性として20年前後を提示しており、施工店の保証制度でも15年前後が提示されています。

ただし、この無機ハイブリッド塗料で施工する方々は、現時点では全体の10%前後。費用面がお高いこと等が挙げられますし、たとえ20年間長持ちしても、デザインは変えたくなるからだと思います。

フッソ系塗料

次はフッソ系塗料です。「フッソ系塗料」は、昔のアクリル系塗料の3-4倍程度の耐候性があり、塗料の中で一番長持ちすると言われていました。要するには、フッソ系の化学結合(蛍石)のほうがアクリル結合や、シリコン樹脂のシロキサン結合よりも強いため壊れにくい、だから塗膜が長持ちするという方程式になります。

お選びいただくお客様は、市場全体(日本建築塗装職人の会調べ2020年4月現在)でも10-15%前後となっております。

シリコン塗料

いわずと知れた人気塗料がシリコン塗料です。塗装業界でも全体の70%程度はいまだにシリコン塗料が現状であり、山佐塗装店でも、今もシリコン塗料をお選びいただくお客様が多いのが現状です。

特にシリコン塗料の人気は、シリコン系樹脂という安定的な性質の樹脂が特徴であること、適度な耐候性やつや光沢感が高級感があるということ。予算もお手頃であることなどから根強い人気です。

また、最近のデザイン塗装の流れでも、次の塗替えを期待する反面コストを抑える意味でもシリコン系塗料をお選びになるお客様が増えています。

断熱塗料

 そして、断熱塗料です。「断熱塗料」「遮熱塗料」等といろいろ言葉が出てきますが、山佐塗装店では、一般のお客様に対しては『断熱塗料』で統一しています。言葉尻よりも「わかりやすさ」が大事ですもんね。

「断熱塗料」で有名なのは、断熱塗料の草分け的な存在だった『ガイナ(GAINA)』ですが、発売されてから15年以上経過した今は、ガイナを超える塗料も次々に出てくるようになりました。そして、一昔前までは怪しい眉唾塗料だった「断熱塗料」が、今は一般塗料の仲間入りを果たしています。(2020年4月現在)

費用面はフッソ系塗料クラス以上になるため、高級塗料クラスに属しますが、体感できる塗料ですので良い塗料で施工してもらった感は満載です。

また、断熱塗料の効果は色彩でも変わります。つまり、淡い色合いのほうが太陽の日差しを反射する断熱効果が発揮されますので、断熱塗料用のデザイン塗装も重要な点になりますね。

 以上が塗料のご説明となります。ただし、山佐塗装店では、お客様は塗料については細かな点までご理解くださらなくて良いかと思っています。(時代によっても変わりますし、メーカーごとにそれぞれ訴求していることが違いますし、また施工店ごとに自分たちの主張が違いますので。。。)

 ただ、言えることは、「塗料」は料理で言うと「食材・材料」のようなものです。いくら良い「食材」を扱ったとしても、腕が悪いコックさんでは美味しい料理はできませんよね。一方で、仮に「一般的な食材」でも、腕の良いコックさんが扱えば、一流の料理が出来上がりますよね。
 腕が良いか悪いかは、天性の感覚もありますが、やはり、コックも塗装技術者も原点は経験が大事
だと思います。

 ですから、塗料については大枠をご理解していただくことができたら、あとは、創業以来70年以上の私たち山佐塗装店に安心してお任せくださいね。

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